ギターのレリック加工★お金をかけないやり方~経年劣化の風合いを短時間で自然な感じに

フェンダーをはじめ各楽器メーカーさんの価格がどんどん上がって来ましたね~ 値上がりは新品だけではなく、リアルなビンテージギターの相場も急激に高騰しているようです。もしあなたが長年欲しいと思い続けているビンテージギターがあるなら、今のうちに入手しておかないと間違いなく2、3年もすれば数十万円単位で値段が上がってしまうと思いますよ。
59年のレスポールなんて絶対僕にはムリですが、60年代フェンダーの300万円前後ならクルマを買ったと考えればなんとか、、?
コロナ禍もあり経済的な事情で高価なビンテージを泣く泣く手放される方も少なくないようす。買い手も売り手もそれぞれの足元を見た売買が繰り広げられているようで価格相場の基準みたいなものも崩壊し始めているようです。
そんな高騰化が進む本物のビンテージに肖ってかレリックギターの価格もどんどん上がっているような感じです。特に日本人は世界的に見てもレリックギターが大好物な人種のようですから。 お金に余裕がある人にとって50、60万円なんて安い買い物かもしれません。クルマ好き人口と比べてもギター好き人口は圧倒的に少ないですから、車両価格と比べれば新品のギターの値段なんて安いもんじゃん!って言われちゃうかもしれませんネ。女性の方が大好きなブランドバッグなんて80、100万円なんてざらですから、若い頃彼女と楽器屋に入った時「ギターってそんなに高くないんだね」って言われたことがありました。その時は「そうだよ~」って答ながら僕の顔はシッカリ引きつっていました♪
ということで今回はビンテージギターやレリックギターが大好きだけどお金が、、、という僕と同境遇のアナタにお金をかけずに出来ちゃう「レリック加工」のやり方をちょっとだけ教えましょう! まずレリック加工されたギターに多いパターンが「いかにも」って感じのヤツ。確かに本物のビンテージギターでもスゴイやつありますからネ♪ 僕も事業が順調だった頃数本のリアルなビンテージを所有していましたが、現在世の中に出回っている30万円クラスのレリックギターって何か違うんですよね。例えば、ストラップで抱えた際に右肘が当たる部分。エッジの周囲を「これでどうだ~!」ってな感じで削ってあるストラトよく見かけるでしょ!? 実際、エッジの部分があんな感じになるまでには相当弾き倒さない限り不可能だと思います。※あくまでも主観です
僕は今までかなりの数のリアルなビンテージギターを見たり触ったりして来ましたが、実際のビンテージは演奏でラッカーがすり減ったり欠けたりしたんじゃなくて、何かにぶつけたりして出来たキズや凹み、塗装剥がれが多いんですよね~
今でこそ高額な値段がついているビンテージギターも当時はそんなに高価なモノではないんですよね~ 勿論、贅沢品には違いないかもしれませんが音楽を演奏する道具ですからネ。入手して数年もすれば扱いもラフになって来るでしょ! 特にフェンダー系のギターは硬いメイプルネックでさらにネック角度がついていませんから、ちょっとやそっとじゃ壊れませんからネ♪
僕が昔持っていた63年製のストラトのボディなんかエッジがガリガリでしたよ~ 相当硬いモノにぶつけたようなキズ、コンクリートの床で引きずり回したような擦り傷とかがいっぱいでした。だからかなり安かったんですが、でもやっぱ音は良かったですね。そんな感じで極端に高額じゃないビンテージギターは本物でもそんな感じのヤツが多いんですよ~
巷でよく見かける「肘当たり部分キレイ磨き出し!」なんていうオールドは滅多にないんですよね~ 確かに演奏で一番接触する部分ですが、ラッカーが剥がれるきっかけになる打痕や傷があったはずなんです。
これ↑は先ほどの写真のギターで僕がもう20年近く愛用している63年仕様のレプリカ。10年以上ブラックにオーバーラッカーしてましたが最近剥がしたんです。ブラックで隠れていた打痕や削れも元通りにしました。数か所新たにレリック加工を施しました。元がラッカーの薄塗仕上げなのでレリック加工は超カンタンなんです。今までポリ塗装のレリックも何本かやりましたが厚塗りポリのレリック加工はラッカーの数倍時間がかかるんですよね~ ●まずポリ塗装のギターをレリックする場合は
キズや削れを入れる前に塗装面を薄く削り出しておく方が上手くいくことが多いです。ポリ塗装でも分厚いのはほとんどトップのクリアー部分ですから。絶対避けた方がイイのは、分厚いポリのクリア面にいきなり打痕をつけたりする方法。
ポリ、特に厚塗りのポリエステルの場合はやらない方が無難。同じポリでもポリウレタンのギターは結構薄塗りのモノがあるんですよね~ 僕も愛用している80年代トーカイの5、6万クラスの素プリンギターは薄塗りのポリウレタンですから、ラッカー塗装のギターと同じような感じでレリック加工できますよ~
僕がレリック加工する際に使う道具はほとんどコレ↑だけ。
あとは仕上げにナイロンヤスリの粗・中・細目は使いますが。 まず僕がレリックする際にお手本にしているのが、昔持っていた本物のビンテージストラトのキズや削れです。
これは↑3日目に施したレリック加工 ※所要時間 約3分
まず先ほどのヤスリ(グリーンの柄)の粗面(ガタガタヤスリ)を使います。ヤスリで削り落とすのではなく柄の部分を軽く握りヤスリ面をボディエッジに軽く当て何度も転がす感じでキズをつけていきます。一箇所でも木材の地が現れれば、あとはそれを基準にして左右に広げていく感じで塗装面を軽く削りとっていきます。ここで一番注意すること「やり過ぎない」
この後重ねていく作業で塗装がイイ感じで自然に剥がれていきますから。削り出し面がイイ感じまで広がったら、ナイロンヤスリの粗目(一般的にブラウンが多い)で削り面周囲の細かいキズをぼかして目立たなくしていきます。
次に黒のマジック(マッキー)で削り面を塗ります。軽く乾いたらウエスやタオルで軽く拭きます。
そして次にもう一度先ほどのナイロンヤスリでキズとマジックの黒がまだらになる程度まで磨き落とします。
そして今度は中目のナイロンヤスリに少量の水をつけ磨きます。これを自分が納得できるような感じになるまで続けていきます。
こんな感じで↑実際についたキズと削れと同化して追加した新しいキズの判別できないでしょ?
中央部分がレリック加工です。正確には両端2㎝程度が実際の削れです。もしあなたのギターが厚塗りポリエステルの場合はキズ加工する前に十分塗膜を薄くしておくことをおススメします。
★ヤスリで全て下地まで磨き出しちゃうのはアウト! ヤスリだけで磨き出したレリック加工は「いかにも」って感じになっちゃいますからあまりおススメしません。※でもそれは人それぞれ好みがありますから、ご自由にやっちゃってください。

●厚塗りポリエステル塗装のレリック加工例↓
ポリはラッカー塗装のように簡単にはいきませんが、これで3分位の加工です。マッキーのブラックで露出した木材の経年劣化がなんとなく表現できてるでしょ♪ あとは削れ周囲を磨き出して終了。イメージとしては打痕がついた塗膜が剥がれ経年劣化したって感じですね~ ★削れを作る前の下地処理に時間をかければ、もっとリアルな感じにはなるんですが、時間短縮作業だとこんなもんですね。ラッカー塗装ならこの状態からどんどんキズが良い感じで広がって雰囲気出てくるんですけどネ♪

とにかくレリック加工はやり過ぎないのがイチバン!
僕の63Reストラトの肘当て部分のハゲはドライバーを落としてついちゃったリアル凹みキズを消すためにやった磨きキズが経年で広がったものです。今ではかなり気に入ってるハゲです♪
近年モノのラッカー塗装でもトップのクリアーが削れてくると演奏中の汗や摩擦でカラー部分も退色が進んでいきます。
僕が愛用している60年代のギブソンLG-1のラッカー塗装は未だに乾き切ってないんですよ~ 長く弾いていると肘が当たる部分がすぐに白濁してきます。冷えるとすぐ透明に戻りますが。
前ビンテージギターのリペアマンに聞いたんですが、近年のラッカーと昔のラッカーとではかなり性質が違うようで、60年代当時のラッカーはやはり楽器用の塗料としては優れているようです。ただその分、取り扱いには気を遣うということですね♪
★ビンテージ・ヤマハのギターによく見られる「白濁」は塗料に混ぜたパラフィンの経年劣化からくるものらしいです。

僕がギターを買う際に決めていること
基本的にラッカー塗装であること ※最悪でもトップコートのみ
ポリの場合は薄塗りの「ポリウレタン」、「ポリエステル」のギターは絶対買わない!
ちなみにフェンダーのJapan製はエステル、傘下ブランドのスクワイアーはポリウレタン塗装。本家USAもほとんどのシグネーチャーモデルがポリエステル。ビンテージシリーズ等はニトロセルロース・ラッカー。シグネーチャーモデルはライブで実際に使用されている仕様なので、野外での天候や照明等の影響を受け難いポリエステル塗装のモデルが多いんです。ま、仕事の道具と割っ切った仕様ですね。
長年ギターをやって来て、やはり自分と同じように経年とともに劣化していくラッカー塗装のギターの方が楽しいですし、愛着もわいてきますからネ♪
▲向かって左側のテレキャスも僕が10年ちょっと前に生材ボディから組んだモノなので塗装は勿論ネックもボディもラッカーで仕上げてあります。ボディはスワンプアッシュなので総重量も3Kgちょっととかなり軽くなってます。長い間ステッツバートレモロを載せていたんですが最近ノーマルの3サドルブリッジに換えました。このギターはかなり酷使してきたのでボディはボコボコ。傷や凹みはレリック加工ではなくリアルボコボコです♪

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